終戦直後の日本の光景
2011年02月04日
教務部長の胸に、喉に引っかかった魚の小骨のようにいつまでも残った。予備校講師たちが思い詰めてやってくる時はきっと何かあるのだ。その想いは日を経るにつれ膨らんできて、ついに四月の開講前の数日を利用して、かの地にいったい何かあるのか、かの地で予備校講師たちはいったい何をしているのか、みに行こうと決意した。教務部の若手職員A君とB君を伴って教務部長がカンボジアのプノンペン空港に着いたのは、すっかり日の暮れた時刻であった。空港の建物の外に出るとあたりは暗闇であった。このような真の暗闇をみるのは何年かぶりのように思えた。遠くにただひとつ、裸電球の明かりがみえた。目をこらすとその裸電球の下にうごめくものがみえる。夥しい人の集まりであった。多分、そこでは物の売り買いをしているのであろう。この光景はどこかでみたことがある、と教務部長は思った。そうだ、思い出した。終戦直後の日本の光景だ。
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